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書評シリーズ第10回 『1%の努力』

「2ちゃんねる創始者が考える現代の生存戦略とは!?」

第10回目は、昨今TVやYouTubeでの露出が話題になっており、2ちゃんねるやニコニコ動画の創設者でもある、ひろゆき氏著の「1%の努力」です。

目まぐるしく変化していく現代社会において、インターネット第一世代の前線を走っているひろゆき氏により、個々人の振る舞い方や生き方について、彼の半生とともに語られていきます。

この本には、今生き辛さを感じている人の心が少し軽くなる作用があると思います。

早速ですが冒頭で、タイトルにもある「1%の努力」について触れています。

かのエジソンの「99%の努力と1%のひらめき」という有名な言葉は間違って捉えられており、本当は「1%のひらめきがなければ99%の努力は無駄になる」と著者は述べています。

ひらめきもないまま、ムダな努力を積み重ねていっても意味はないというのです。

この持論を元に、話は段々と展開していきます。

この本は、以下の7つのエピソードで構成されています。

①「前提条件」の話

②「優先順位」の話

③「ニーズと価値」の話

④「ポジション」の話

⑤「努力」の話

⑥「パターン化」の話

⑦「余生」の話

まず①の「前提条件」について触れていきます。

東大生の親の6割の年収は950万円以上であり、親の年収は学歴に大きな影響を及ぼすといったように、著者は努力だけでは変えられないものがあることを例を交えながら述べており、遺伝や環境などの影響を考慮した上で、やみくもに努力するだけではなく「自分で変えられる部分」に力を注ぐことの重要性を説いています。

著者は1976年、神奈川県で生まれ、その後東京都北区赤羽に移り住みました。小学校のときからプログラミングに触れていたとのことです。その時に観たバッドエンドで終わるとある映画に影響を受け、人とは違った視点での物の見方や生き方に関心を持つようになります。

著者は赤羽での家庭環境に特に影響を受けたと述べており、この章で「エッグスタンド」という興味深い話が出てきます。

「エッグスタンド」とは、卵を乗せる専用の食器で、裕福な家庭に置いてあったそうです。(自身もその存在を知りませんでした。)

著者は当時、このような食器を買う余裕があり、あるのが当たり前という家庭にショックを受けたそうです。

「エッグスタンド」はあくまで他人との比較対象の例として挙げられており、良い大学、良い会社、良い結婚など、人生ではあらゆる「エッグスダンド」に直面すると言います。つまり生きていく限り、つねに「比較対象」に晒されるのです。

そこで著者は人を羨ましいと感じてしまう際に、「エッグスタンドなんて、いらなくない?」という言葉を思い出してほしいと述べています。人との比較を止めることで気持ちが楽になると言うのです。

著者が生まれ育った赤羽は安い飲み屋が多く、中には働かずに生活保護を受けていた人も多くいたそうです。そのような環境では、高いものを買ったり、見栄を張ったりする必要がなかったそうです。

人は物やお金を持つとそれを守りたくなります。そしてそれは、ステータスやプライドのような「見えないもの」も同様です。人は知らず知らずのうちに「最低限の守るべきライン」を設定してしまいます。

しかし、そのような「最低限の守るべきライン」を設定すると、今度は「維持するコスト」が発生し、高めに設定された守るべきラインは身動きを取りにくくします。

上を見て比べるのはバカらしいが、下を見て落ち着くことを否定しないと著者は述べており、上を見たらエッグスダンドと思い、下を見たら自分の方がマシだと思う。考え方しだいで気持ちがラクになることは、スキルとしてもっておいたほうがよいと説いています。

また、会社員として働いていると、どの会社にも「働かないオジサン」や「自分の仕事を囲い込む人」が存在しており、同じ組織にいる以上、そういった人たちを攻撃したくなります。

しかし、著者はそれに気を取られて消耗している場合では無いと言います。今は自分の人生は自分で守る時代なのであり、弱者には弱者の論理があるのだ説いています。プライドを守るのが強者の論理なら、権利を守るのが弱者の論理なのだと。彼らに時間を費やすのではなく、自分のやるべきことにフォーカスする重要性を説いています。

ここまでの話は、「前提条件」についての話であり、ここからはいかにして読者が「チャンスを掴む人」になるかを述べていきます。

チャンスは突然やってきて、あっという間に過ぎ去ってしまいます。

今までの「前提条件」に捕らわれてしまうと、せっかくのチャンスも逃してしまうと言っています。

そこでまず、チャンスを掴むためには「片手はつねに空けておけ」つまりヒマを作っておけと著者は述べています。

せっかくのチャンスも、忙しくて余裕がない状態だと逃しやすくなります。ヒマがないと新しいことを始める時間もなくなってしまいます。チャンスは掴みやすい状態にすることが大事であるというのです。

続いて著者は②の「優先順位」の話をします。

著者は「睡眠」を最優先事項としており、例え土下座をして謝ってでも「睡眠」を取ることを第一にしていると言っています。

そのため、普通のサラリーマン生活はできないと判断し、大学在学中に「交通違反のもみ消し方」という掲示板を始めます。そこから次第に仕事が舞い込むようになり、大学2年生の時に起業しました。

その後海外留学しながらホームページ制作の仕事を続けていくことで、日本に捕らわれずに働くことができ、いつでもどこでも暮らしていける自信がついたと述べています。

このように、優先順位をつけ、そこから逆算して物事を考える重要性を説いています。

また、大事なものが多すぎて優先事項を決められない人に対して、「捨てるべきもの」の優先順位の付け方についても言及しています。

捨てるべきものの判断基準として、「修復可能か?」という観点で判断しています。修復可能な場合は後回しで良いとのことで、明日できることは今日やらないと主張しています。

そして、優先順位をつけた後はゴールを設定すること。

ここでのゴール設定は、具体的過ぎるものより漠然としたものの方が良いと述べています。ゴール設定をすると、なんとなくその方向に一つ一つの行動がつながっていくようになるのだと。

また、常に新しい知識や考え方に触れる習慣と自分がストレスを感じるポイントを知っておくことについても挙げており、新しいものに触れることがないとすぐにオジサン化してしまい、ストレスを感じるポイントを知っておくことで、ストレスを避けることができると言っています。

続いて、③の「ニーズと価値」についてです。

仕事の選び方について、著者は自身の経験から「好きなことではなく、できることを仕事にすること」を勧めています。

好きな観点から仕事を選ぼうとすると、センスの領域に入ってしまい、安定収入にするのが難しいと述べており、「やりたいこと」と「できること」の二軸において、「できること」から初めて、そこから徐々に「やりたいこと」に近づけていくことを勧めています。

好きなことを仕事にすることについて、例えばゲームが好きな人がいたとした場合、「ゲームが好き」→「ゲーム業界に行きたい」ではなく、もう一段解掘り下げ、「ゲームを作りたい」→「何も考えずに没頭できる仕組みを生み出したい」といったように、「体験」まで掘り下げることで、会社や業界を渡り歩くことができると言います。

著者は1999年に、かの巨大掲示板「2ちゃんねる」を開設しました。

「2ちゃんねる」が成功した要因として、「匿名で自由に書き込みたい」というニーズがあったからだと著者は述べています。

当時は匿名で投稿できる掲示板という存在が少なく、管理責任などの問題が挙げられたりしましたが、現在はそれがツイッターやヤフーやYouTubeのコメント欄に置き換わっただけであり、「匿名で自由に書き込みたい」というニーズはあり続けるのだと主張しています。

このように「無くなったら困るニーズ」を見つけ、それに人生を捧げた方が良いと述べています。

続いて、④「ポジション」の話についてです。

著者は元々プログラミングなど自身の手を動かす作業をしていましたが、やがて「企画」や「座組み」を作る作業がメインになっていきました。

コードを書く作業の分野にもプロフェッショナルな人たちが存在しており、そこで戦うことは難しいと判断し、現在のポジションを取ることを選んだそうです。

ただ、ここでの注意点として、ただ指示をするだけの現場を知らない管理職のようになるのではなく、現場の経験を元にして「第三者的な視点」で指示をすることが重要であると言います。

そして、「第三者的なポジション」を取るために必要なことの一つに「コミュニケーションコスト」を挙げています。

著者がここで言う「コミュニケーションコスト」とは、「言ってはいけないことを言うスキル」であると述べています。

つまり「本音で言うこと」であると。

日本社会では特に「空気を読むこと」を美徳に思う風潮があるため、本音で伝えることを避けてしまいがちです。

しかし、本音で言うことが優しさであると著者は主張しています。もちろん、好き嫌いだけで言うのではなく、根拠を提示したり、改善策を一緒に考えたりします。ただ単に無責任に「うまくいきますよ」とは言わないだけであるとのことです。

本音を言う際の判断材料として、②の「修復可能かどうか」の話が出てきます。

本音を言うのは「修復可能である」と信じているからと言い、後で間違っていた場合は本気で謝ればいいと述べています。それでも嫌味を言ってくるような人は距離を置けばいいと。

「本音で言う。そして、ちゃんと謝る」このスキルだけで一気に重宝されるポジションを獲得できるのです。

他にもポジションの取り方について「間違ってもいいから量的にたくさんの発言をすること」、「現場レベルのサブスキルを持っておくこと」についても述べています。

「量的にたくさんの発言をすること」についてのメリットとして、会議などの場で最初に発言をすると、発言をしない者が実作業をすることが多いとのことで、こういった逆張りの発想が大事だと言っています。

「現場レベルのサブスキル」については、著者は「プログラミング」をサブスキルとして持っており、メインは「問題解決」であると言います。現場レベルの仕事ができない人の言うことなど誰も聞いてくれないのだとのことです。

「サブスキル」は言語がわからなくても仕事ができるものを勧めており、これを持っておくと、仕事の可能性を広げることができると述べています。

このように人とちょっと違ったポジションを取ること、それだけで一気に自身の強みになると述べています。

続いて、⑤の「努力」の話に移っていきます。

ここでは冒頭でも触れた「1%の努力」について言及しています。

”最小の努力で最大の成果を上げることが、その人の生産性になる。”と著者は切り出し、いくら過程で頑張ったとしても、大事なのは「結果」であり、結果を出してトクする人になることについて考察していきます。

その一つとして、趣味と仕事を切り分けることを挙げ、日本において身体能力が高い人は、バスケではなく、ビジネスとして成立している野球やサッカーに移った方が良いと述べています。

こういった自分の能力を睨みながら、社会のニーズに合わせられる人の方が、世の中では成功しやすいと述べております。

仮に社会のニーズが低くても、好きなことをやり続けていくうちに社会のニーズが生まれて上手くいくケースもありますが、日の目を見ずに生涯を終えていく可能性も高いと説いています。

また、組織においては「上の判断がよければ、下がテキトーでもうまくいく」と述べています。

下の人間がいくら頑張ったとしても、上の判断が間違っていればすべてがムダになることがあるとのことです。

仕事というのは基本的に毎月働いてお金をもらって、次の月も同じことをするというのを何十年とやっていくものであり、無理せず長く続けるほうが重要であるとのことで、好きでその仕事をしているのであれば問題はないが、「自分がやっているからお前もやれ」と言うのは間違っているというのです。

ただ、ここでの注意点として、トップが優秀だからといってラクをしている場合は少し焦った方が良いと述べており、上手くいっているのを自分の実力とは勘違いせず、「環境のおかげである」と思うことで、他の人より頭一つ抜きん出ることができるというのです。

ここでも自分で変えられない環境に執着するのではなく、自分で変えられる部分に主軸を置くことの重要性を説いています。

次に、⑥の「パターン化」の話についてですが、著者は「明日できることは今日やるな」ということを座右の銘にしており、明日になったらやりそうもないことだけ、その日中にやるようにしていると述べています。

ダメな時に素早く諦めることも、「1%の努力」には必要だと言うのです。

世の中は自己分析が苦手な人が多く、向いてないことを必死で努力しても報われないことが多いと言います。

そこで、仕事をする人を以下の3つでパターン化し、どのタイプに自分が当てはまるのかを考えることを提案しています。

①0から1を生み出す人

②1を10にする人

③10を維持しながら、11、12…にしていく人

現在の世の中的には、①のクリエイタータイプが重視される傾向にありますが、みんなが①のタイプだと意見がまとまらなくなってしまい上手く行かなくなると述べています。

自身が①のタイプに向いていないと思ったら、他の②、③の道もあるというのです。著者は③のタイプの人についても軽んじることなく、「試行錯誤をする」など、考え方によってはゲーム感覚で楽しく働くことができると言っています。

ちなみに著者は②のタイプであるといい、早々に①にはなれないと見切りをつけたことで、道が開けた旨を述べています。

また、ここでもうひとつ自分の適性を判断する方法として「夏休みの宿題への取り組み方」についての話を挙げており、個人的に面白いと思いましたので取り上げていきます。

「夏休みの宿題への取り組み方」のタイプは以下の3つに分かれるといいます。

①早めに終わらせる、あるいは毎日コツコツやるタイプ

②自由工作や絵などに時間をかけて取り組むタイプ

③最終日が迫ってきて慌ててなんとか間に合わせるタイプ

このいずれかに合った部分を集中的に鍛えれば、頭ひとつ抜きん出た存在になれると言うのです。

①のタイプは勉強に向いており、知識を貯めていく方向で頑張るのを勧めています。

②のタイプは自分が納得することに重きを置き、一人で黙々と作業することに向いているとのことで、このタイプは社会ですぐには認められないようなことに取り組むことを勧めています。

③は、著者自信もこのタイプであると述べており、突発的なことに対処する能力があり、リスクマネジメントや対人による交渉事に向いてるのだそうです。

このように自身の適性を見定めた上で、次に大事になってくるのは「実績」であると述べています。

”この人は何を求めているんだろう?”と、相手のニーズを考えた上で、それに一致させることに集中する必要性について説いています。

そのためには「数をこなすこと」それしかないと述べています。

一度でも大きな実績を上げてしまえば、パターンから外れた領域に入り、人生はとても楽しくなるとのことです。

著者は「予測不能なものにだけお金を払う」ということをルールとしており、人生を楽しむために、新しいことをすることを必要条件に挙げています。

このように仕事をパターン化させることと、そこから抜け出すことの楽しみ方について述べた後に、⑦「余生」の話にて、ひろゆき氏のような「働かないアリ」になれるかどうかについて言及していきます。

世の中には「サボれない人」もいて、人生をサボれるのも一種の才能かもしれないと述べています。

「働かないアリ」は、一見すると働いているように見えます。ぶらぶら歩いていると思いもよらなかったデカいエサに出くわし、エサがあったことを知らせると「働きアリ」が運んできてくれます。こういった「働かないアリ」になるために必要なことについて述べていきます。

まず「働かないアリ」になるための必要な素質について、「ダラダラすることに罪悪感がない」ことと、「自分の興味があることに没頭できる」という2つの点を挙げています。

「ダラダラすることに罪悪感がない」について、就職して数年すると、給料がそれほど増えず、先輩の給料を見てその先をある程度想像するようになります。頑張ったら頑張った分だけ給料が増えるわけではないという事実に直面し、ダラダラと日々が続いていきます。

そういった前提で生きていけば、努力が報われなくても生きていけるというのです。

続いて「自分の興味があることに没頭できる」について。

現在はパソコンやスマホにより、調べることのコストがほとんどゼロの状況です。著者は「1%の努力」として、調べることは徹底的にやるようにしていると言います。

例として、「ふるさと納税」や「NISA」などの制度を挙げており、少し調べればこういったお得な制度があるのに、少しの労力を惜しんで知らないのは損であると述べています。

興味が出たものを徹底的に調べ、納得するポイントを探ることを重要視しているのです。

最後に、作者は「すべては笑い話にできる」ということで本書を締めくくっています。

人生において、就職に失敗した、事業に失敗したなど、あらゆる失敗は酒の肴にして友達との笑い話になると言い、それに代わる人生の楽しみがあるだろうか、と述べています。

人生における笑い話になる失敗談をいくつ持っているかが、人生の豊かさであるのだと。

そこには、あらゆる失敗や辛い経験などは無駄にはならないため、どんどん色んなことに挑戦して欲しいという、ひろゆき氏の優しい願いが込められているような気がしました。

私も人生を楽しく過ごすことを第一として、これからも新しいことに取り組んで行きたいと思います。そして、たとえ失敗したとしても、それを笑いに変えて生きていけるような懐のある人物になりたいですね。

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