人生を変えた名盤シリーズvol.5 『Revolver』
「音楽家としてのビートルズ」
第5回目はビートルズより、7作目の『Revolver』です。
こちらのバンドに関してはもはや説明不要ですね。
このアルバムは、前作『ラバーソウル』発表後、ビートルズ自身がアイドルグループから、より音楽性を追求しだした時期に発表された作品で、内容は実験性の高い楽曲で構成されています。また、当時メンバーはドラッグに手を出していた時期で、LSDの幻覚作用にも影響を受けたと言われています。
有名な曲として、シングルカットもされオーケストラとの共演が話題になった名曲『エリナーリグビー 』や、映画にもなった『イエローサブマリン』などがあります。
しかし、このアルバムの特筆すべき点は、それまでのビートルズのイメージからの脱却を図った、当時の技術ではライブ演奏が不可能と言われた楽曲群です。
アルバムは、当時の税務職員を皮肉ったジョージ・ハリスンの『タックスマン』で幕を開け、ポールの大名曲『エリナーリグビー』へと続くように、非常に多様な音楽性を包括しています。
個人的なお気に入りは、ジョン・レノン作曲の『アンド・ユアー・バード・キャン・シング』です。
この曲はいきなりツインギターによる耳に残るリフから始まり、その後ジョンレノン特有のどこか哀愁のあるコード進行で展開されていきます。
歌詞もナンセンスと言われ、ジョン・レノン本人が捨て曲と揶揄していることから、この曲については様々な憶測が飛び交っているという、いわくのある作品です。
そして、なんと言っても特筆すべきは、ラストのジョン・レノン作『Tomorrow never knows』です。
この題名は、リンゴが何気なく呟いた言葉から取られたと言われ、文法的には間違っています。
冒頭から逆回転の演奏で始まり、カモメの鳴き声みたいなサンプリング、SEを使用するなど、録音技術をふんだんに駆使し、当時では非常に画期的な楽曲でありました。
また、歌詞はティモシー・リアリーらの共著『チベット死者の書 サイケデリック・バージョン』に触発されたと言われています。
この曲は後にサイケデリックロックに多大な影響を及ぼしたと言われています。
バンドはこの作品の後に、世界初のコンセプトアルバムと言われる『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』を発表します。
今までのビートルズのイメージを払拭し、歴史的な作品を発表するまでの転換点となった今作は、彼らのキャリアの中でも非常に興味深いものがあります。
また、同時期にシングルカットされ、今作には収録されなかった『レイン』と『ペーパーバックライター』も必聴です。ちなみにこちらは『パスト・マスターズ』に収録されています。
もし今まで聴いたことがありませんでしたら、本作があなたをビートルズの真髄へと導いてくれることを保証いたします。