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王道でもないし、人生を変えるほどじゃないけれど、個人的に好きなアルバムシリーズvol.2 『結束バンド』

「これはもうアニソンの域を超えている」

第2回目は、「結束バンド」より、『結束バンド』です。

こちらはTVアニメ『ぼっち・ざ・ろっく!』の作品中に出てくるバンド「結束バンド」が発表したという設定のサントラアルバムです。

しかし、ただのアニメのサントラアルバムではありません。

制作メンバーには、プロのサポートミュージシャンや、数々の有名アーティストの楽曲を生み出したクリエイターなどが参加しており、邦ロックアルバムと遜色ない完成度を誇っています。

ちなみにアニメのあらすじを解説しますと、幼少期から引っ込み思案で気が弱いため、高校まで一人も友達がいなかった主人公「後藤ひとり(通称ぼっち)」が、とある音楽番組を観てギターを始め、中学三年間を毎日6時間ひたすらギターの練習に費やし、ネット動画の世界で「ギターヒーロー」として登録者が8万人を超えるほどまで上達します。

しかし、彼女は現実世界では人見知りで大人しい少女のままです。

バンドを組んでチヤホヤされたいという願望を持っていますが、人一倍コミュニケーションを取るのが苦手なため、学校にギターを持っていったりとひそかに音楽好きをアピールしたりするも、なかなか上手くいきませんでした。

気を落としながら公園で過ごしていると、突然同い年くらいの少女が現れ、ギターのサポートメンバーをしてくれないかと頼まれます。

断れない主人公は、なすがままにライブハウスに連れて行かれ、ここから彼女とバンドの成長物語が始まります。

ぼっちちゃんがなんとか自分の殻を破ろうと四苦八苦?する姿や、いざというときにギターヒーローのスイッチが入る瞬間などと見どころが多く、2022年のナンバー1アニメに挙げる人も多いため、もし興味がありましたら2023年1月27日現在でアマゾンプライムなどで視聴できるので、ぜひご覧になってみてはいかかでしょうか。

あらすじが長くなってしまいましたが、ここからは楽曲紹介です。

結束バンドのメンバーは、リードギターの後藤ひとり(CV:青山吉能)、ギターボーカルの喜多郁代(CV:長谷川育美)、ベースの山田リョウ(CV:水野朔)、ドラムの伊地知虹夏(CV:鈴代紗弓)です。

曲目は以下の通りの全14曲です。

1.『青春コンプレックス』

2.『ひとりぼっち東京』

3.『Distortion!!』

4.『ひみつ基地』

5.『ギターと孤独と蒼い惑星』

6.『ラブソングが歌えない』

7.『あのバンド』

8.『カラカラ』

9.『小さな海』

10.『なにが悪い』

11.『忘れてやらない』

12.『星座になれたら』

13.『フラッシュバッカー』

14.『転がる岩、君に朝が降る』

冒頭1曲目の『青春コンプレックス』はアニメの主題歌で、いかにもオープニングらしいストレートなロックに仕上がっています。

主人公ぼっちの内に宿る熱い思いを表したような歌詞です。

2曲目の『ひとりぼっち東京』も主人公の内情を表した曲で、都会の孤独についても触れており、東京で一人暮らしをしたことがある人に特に刺さる歌詞ではないでしょうか。

3曲目の『Distortion!!』はアニメのエンディングテーマ曲で、いかにもアニメらしいポップでノリの良いチューンです。デフォルメされたキャラたちがかわいいエンディング映像も印象的です。

4曲目『ひみつ基地』も、声優さんの可愛らしい歌声で明るい気持ちにさせられる曲です。

と、ここまでは普通に良いアニメサントラアルバムですが、個人的に本領を発揮するのはここからだと思っています。(まるで制作陣もそれを分かっているかのような曲順…)

5曲目『ギターと孤独と蒼い惑星(ほし)』こちらは劇中で主人公ぼっちが初めて作詞した曲で、バンドを結成したばかりのためか演奏は荒々しくも、どこか人を惹きつける光るものがある様を上手く表現しています。

ちなみに某元祖日常系ガールズバンドの楽曲とは違い、こちらはゴリゴリのロックです。

メンバー全員が必死に本気で演奏しているのが目に浮かんできますね。

6曲目の『ラブソングが歌えない』は、いわゆる青春ソングに抵抗がある主人公が作詞したと思われ、憧れがありつつも恋愛をしたことがない彼女の鬱屈とした心情を表しています。

恋愛テーマが多そうなアニメソングで、このような歌詞の曲を出すのは面白いですね。

そしていよいよ、7曲目の『あのバンド』です。

個人的に私が今作で一番好きな楽曲で、アニメでも初めてこの曲が流れるシーンを観たときは、鳥肌が立つほど感動しました。(これ以上はネタバレになるため、ぜひ作中でその瞬間をご堪能ください。)

ディストレーションの効いた激しいギター、耳をつんざくようなボーカル、変拍子のドラム、踊るようなベース、最高です。

サビの部分でリードギターが連続チョーキングをしているのですが、それがまさに踏切音を表現しているようで、楽器で歌詞を表すテクニックには脱帽です。

こんな曲を高校生が自分たちで作って演奏していたらバケモノですね。

次に8曲目の『カラカラ』ですが、こちらは日本のロックバンド「tricot」のボーカル中島イッキュウ氏が作詞・作曲した曲で、それまでとは毛色の違ったポスト・ロックのような雰囲気の楽曲です。

ここが本作の面白い点で、日本の邦ロックをアニメキャラが演奏しているという感覚の、今までありそうで無かったジャンルが展開されています。

ちなみにこちらの曲も作中のエンディングテーマに使われています。

10曲目の『なにが悪い』もエンディングテーマに使われた楽曲で、こちらは「the peggies」という日本のガールズバンドのボーカル北澤ゆうほ氏が作詞・作曲を行いました。

メロディがとてもキャッチーで、往年のJ-POPを彷彿とさせる曲調です。

このような曲が入っているとは、本当に本作のクオリティの高さが伺えます。

そして、11曲目の『忘れてやらない』です。

こちらは劇中で結束バンドが、最終話の文化祭ライブ1曲目で披露した曲です。

主人公が文化祭に出ようか迷ったりと右往左往して迎えた当日、体育館は満員ですが、バンドはそんなプレッシャーを跳ね返すかのような見事な演奏をします。

まさに青春のまばゆい輝きが伝わってくるようなエネルギッシュな曲で、作中でもギターボーカルの喜多ちゃんというキャラクターが、楽しそうに歌う姿が印象的です。

続いて12曲目の『星座になれたら』です。

こちらも作中で披露された曲で、文化祭ライブでは前曲の『忘れてやらない』の次に演奏されます。

『忘れてやらない』で良い感じの手応えを掴んだバンドは、さらに勢いを増そうとしますが、ここで主人公ぼっちがアクシデントに見舞われます。(その後どうなったかはアニメをぜひ!)

それまでのストレートなロックとは一点し、ファンキーでちょっと大人っぽい曲調で、最終回にふさわしい仕上がりとなっています。

ちなみに、今作に収録されている劇中で主人公達が演奏した4つの楽曲は、『ギターと孤独と蒼い惑星(ほし)』が主人公後藤ひとり、『あのバンド』がベースの山田リョウ、『忘れてやらない』がドラムの伊地知虹夏、『星座になれたら』がボーカルの喜多郁代と、それぞれのメンバーがモチーフとなっています。

続いて、個人的に『あのバンド』の次にお気に入りの13曲目『フラッシュバッカー』です。

この曲は、本作で『青春コンプレックス』、『ギターと孤独と蒼い惑星』、『小さな海』と多くの楽曲を提供したシンガーソングライター音羽-otoha-氏によるものです。

輝かしい思い出がフラッシュバックされる心情を切ない歌詞に込めており、重厚なギターも相まった壮大なバラードが展開されており、完全にアニソンの域を超えています。

そしてラスト『転がる岩、君に朝が降る』は、かの有名な「ASIAN KUNG-FU GENERATION(通称アジカン)」のカバー楽曲で、ぼっち・ざ・ろっくの作者は、アニメの一話と最終話のタイトルから伺えるように、同バンドを敬愛しています。

ちなみに、登場キャラたちもバンドメンバーの名前をもじったものです。

私もアジカンは名前だけは知っていましたが、あまりしっかりと聴いていませんでしたので、今作を機に本腰を入れて聴いてみたいと思います。

ちなみにこちらがオリジナルです。

ところどころ、アルバムよりもアニメの内容の方に脱線してしまいましたが、本作はアニメを観ていない邦楽好きの方でも十分満足できる出来栄えとなっています。(アニメを観ればより一層楽しめると思います!)

ちなみに、劇中で主人公の師匠的存在のベーシスト廣井きくりのバンド「SICK HACK」のライブシーンで流れた「ワタシダケユウレイ」という曲が個人的に劇中最大の神曲だと思っていますが、残念ながら本作には収録されませんでした。

もし結束バンドのセカンドアルバムが出るのであれば、ボーナストラックで入れてほしいですね。もしくは「SICK HACK」名義でアルバムを出してほしいです。(調べたらアニメ5巻のBDに特典で付いてくるようです。)

このアニメのヒットを機に、再び日本のロックが勢いを取り戻してほしいと、ひそかに一人自宅でロックをしながら願っています。

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