書評シリーズ第5回 『ランウェイで笑って』
著者:猪ノ谷 言葉
「人はどこまで本気になれるのだろう?」
この漫画は、身長に恵まれないがパリコレを目指すモデル志望の女の子と、ファッションデザイナーを目指す男の子が切磋琢磨して夢を目指す青春物語です。
講談社「少年マガジン」にて、2017年から2021年まで連載され、アニメ化もされました。
少年漫画では異例のファッション業界を舞台としていますが、中身は仲間と助け合い、ライバルと高め合うといった王道のストーリーとなっています。
主人公は、着た人が自然と笑顔になれる服を作るのが好きな少年「都村 郁人」と、子供の頃からファッションモデルに憧れ、身長にハンデを追いながらもひたすら夢を追う少女「藤戸 千雪」の二人です。
二人の前に立ちはだかる数々の困難を、決して夢を諦めない熱量、仲間との協力、時には意外な形で乗り越えたりと、読んでいてとても爽快感があります。
こちらの作品には、普段関わることが無いファッション業界の知識が踏んだんに盛り込まれ、服の種類や生地・加工方法といった服飾の知識や、コレクション(展覧会)にて新作を発表し、その後店舗で販売するといった、服が世に出るまでの一連の流れを知ることができます。
また、デザイナーが考えた服を実際に生地に落とし込むパタンナー、展示会で流行りそうな服を買い付けに来るバイヤーなど、ファッション業界を取り巻く様々な職業についても知ることができます。
普段われわれが何気なく来ている服ですが、そこにはあらゆる技術が施され、デザイナー達の想いが込められていることを、この作品を通して学びました。
もっと自分もファッションを楽しめるようになりたいですね。
全22巻と、結構なボリュームがありますが、物語のテンションが落ちることがないため、一気に読めてしまいます。
たまには毛色の変えた漫画を読みたいと思っている方に、ぜひおすすめの作品です。