人生を変えた名盤シリーズvol.12 『アンプラグド(Unplugged)』
「繋がないカッコよさ」
第12回目は「エリック・クラプトン」から、『アンプラグド(Unplugged)』です。
このアルバムは、クラプトンがMTVにて披露し、アンプに繋がずにアコースティック・ギター等の生音中心の演奏を収録した、1992年発表の作品です。
曲目は以下の通り、全14曲です。
1.『Sign』
2.『Before You Accuse Me』
3.『Hey Hey』
4.『Tears In Heaven』
5.『Lonely Stranger』
6.『Nobody Knows You When You’re Down & Out』
7.『Layla』
8.『Running On Faith』
9.『Walkin’ Blues』
10.『Alberta』
11.『San Francisco Bay Blues』
12.『Malted Milk』
13.『Old Love』
14.『Rollin’ And Tumblin’』
冒頭1曲目『Sign』の軽快なボサノヴァ風のインストナンバーで幕を明けます。
正直クラプトンのこういったインストナンバーのみを収録した作品なども発表してほしいですね。
その後アコースティックなブルースカバーが展開され、まるでライブハウスでしっとりお酒を飲みながら演奏を楽しむような感覚を味わえます。
特に、4曲目の『Tears In Heaven』や7曲目の『Layla』といった、クラプトンのキャリアを代表するナンバーのアコースティックカバーを楽しめるのが今作の目玉の一つです。
ちなみに本作に収録された『Layla』は、その年の最優秀ロック・ソング賞を受賞しています。
『Layla』はクラプトンのキャリアの中でも最重要と言っていいほどの有名曲で、「デレクアンドドミノス」の魂のこもったハードな演奏とはまた違った味があります。
そして、私のお気に入りの曲である、6曲目の『Nobody Knows You When You’re Down & Out』です。
この曲は1923年に「ジミー・コックス」によって書かれ、その後多くのアーティストによってカバーされたブルーススタンダードです。
一度は成功した男が、その後どん底に転落し、周りの人が皆離れていった旨の歌詞は、クラプトンの哀愁のある歌声と相まってどこか胸を打つものがあります。
しかし悲壮感は無く、そんな状況でも”なんとかなるさ”、”気楽に生きていこう”といった前向きな気分にさせられます。
私自身の中では、ビートルズの『Let It Be』やサイモン&ガーファンクルの『明日に架ける橋』に並ぶ、どん底に落ち込んだ時に勇気を与えてくれる曲です。
アルバム全体を通して、家の中でお酒でも飲みながらリラックスして聴くのにぜひおすすめの作品です。
アンプを繋いで大音量で激しくギターをかき鳴らすのも魅力的ですが、たまにはこういった”繋がない”生の音をしっぽりと楽しむのも乙なものですね。